11月のりんご教室では、「メタボ」の基本を学びました。
健康診断で「メタボ疑い」と言われると、少しドキッとしますよね。しかし、メタボは“病名”ではなく、生活習慣病のリスクが高い状態をまとめて指すサイン。
早めに気づいて対処すれば、十分に戻すことができます!
目次
1. メタボとは?
日本の診断基準では、以下の「腹囲基準」+「血液項目2つ以上」でメタボです。
● 必須:腹囲(ウエスト周囲径)
男性:85cm以上
女性:90cm以上
※内臓脂肪が増えると炎症物質が出やすくなり、
血圧・血糖・脂質が乱れやすくなります。
● 以下のうち2項目以上(いずれも基準を超えると“危険サイン”)
- 中性脂肪(TG)150 mg/dL以上 または HDLコレステロール40 mg/dL未満
- 血圧:収縮期130 mmHg以上 または 拡張期85 mmHg以上
- 空腹時血糖:110 mg/dL以上
2. メタボが危険と言われる理由(リスク)
メタボの本当の怖さは「症状がないまま進む」こと。
気づかないうちに、次のようなリスクが高まります。
● ① 動脈硬化の加速
内臓脂肪からは炎症物質(TNF-αなど)が放出され、血管の老化を早めます。
● ② 心筋梗塞・脳卒中の確率が上がる
高血圧・高血糖・脂質異常が同時にあると、血管が詰まりやすい状態に。
● ③ 糖尿病の発症リスク
インスリン抵抗性が悪化し、血糖を下げにくい体質へ。
● ④ 脂肪肝・肝機能悪化
中性脂肪が肝臓にたまり、将来的にNASH(非アルコール性脂肪肝炎)へ進む場合も。
● ⑤ 慢性炎症により不調が増える
疲れやすい、肌が荒れる、免疫力が落ちる、メンタルが不安定になるなど、
“なんとなく不調”が続きやすいのも特徴です。
3. 今日からできるメタボ対策
特別なことをしなくても、
「毎日の選択」を少し変えるだけで大きく改善します。
① 食事:血糖値とインスリンを急上昇させない
- 白米 → 雑穀米・玄米の一部置き換え
- 甘い飲み物・菓子パンはできるだけ控える
- タンパク質を毎食しっかり(肉・魚・卵・大豆)
- 野菜 → 先に食べる“ベジファースト”
- 加工食品・揚げ物を減らす
🔎 医師としてのポイント
糖質の量だけでなく、「タイミング」も重要。
夜遅い食事・寝る前の間食は脂肪蓄積を促進します。
② 運動:内臓脂肪を減らす“最強の薬”
- 1日20〜30分の早歩き
- 階段を使う・大股歩き
- 週2〜3回の軽い筋トレ(スクワット・腕立て)
運動は、血糖・血圧・脂質すべてに良い影響があります。
③ 睡眠:眠れないと太るは本当
- 睡眠不足 → インスリン抵抗性の悪化
- 夜更かし → 夜間の空腹で間食増
- 深い睡眠は食欲ホルモンの安定につながる
まずは 23時までに就寝 を目標に。
④ ストレスケア:コルチゾール過剰は内臓脂肪の原因
- 5分の深呼吸や瞑想
- ゆっくり湯船につかる
- 軽い散歩
ストレスは「食欲増強ホルモン」を乱します。
4. メタボ予防の“黄金比”
最も効果が出やすい組み合わせをまとめます。
- ご飯を半分+タンパク質を倍に、よく噛んで!
- 1日20分のウォーキングを習慣化
- 夜の糖質を控える(特に21時以降)
- 睡眠時間6.5時間以上を確保
- ストレスの出口を作る(運動・趣味)
この5つを3週間だけでも続けると、
「ウエストがゆるくなった」「朝のだるさが消えた」などの変化が起きやすいです。
5. まとめ
メタボは“病気の前ぶれ”を知らせてくれる黄色信号。
放置すれば将来のリスクは高くなりますが、
正しい知識と毎日の小さな習慣で十分に改善できる状態 です。
健康診断の数字は、あなたの体からのやさしいメッセージ。
まずはできることから一つだけ、今日から始めてみましょう。

